下の子は突然無理やりに連れ出した私に感謝している
上映中の映画『浅田家!』が【第36回 ワルシャワ国際映画祭】で、邦画では初の最優秀アジア映画賞(NETPAC賞)を受賞しました。
納得です。
だって、凄く良かったから。
想像を遥かに超えて良かったから。
最初は、この映画の予告編を観た下の子が「観たい」と言ったので、じゃあ、一緒に行こうか?程度だった。
それが時間の経過とともに、
下の子(‘ω’)「Amazon Primeでいいかな」と言い出したので、そう?となり観に行く候補から外していた。お涙頂戴の映画かな、とも思ったし。
けれど、
映画が公開されてから、映画『浅田家!』の評判が兎に角いい✨。
Twitterのフォロワーさんの評判もいい✨。
少々辛口な人も「観ないつもりだったのに偶然見たら良作過ぎた」的な意見を述べてる。
そんなの多い。
そうか、
~自分一人だけでも行くか~
の、つもりだった。
けれど、
二日前の土曜日午前9時過ぎ。
( `▽´)♪「下の子!『浅田家!』を一緒に観に行くよ!今日!今から予約するから!」
下の子Σ(゚Д゚)💦「分かった・・・」👈こんな母親に慣れてる。
行って大正解だった。
良かった、劇場公開を見逃さなくて。出会えて良かった。
下の子( ;∀;)「途中からずっと泣いてた」そうなんだよね、でもそれは温かさが心に沁みる涙だったんだよね。
下の子( ;∀;)「凄く良かった。むっちゃ良かった。思い出すとまた泣けてくる」
うん、そうだよね。
ウルウル。
『浅田家!』あらすじ
(敬称略)
弟は、なりたかった写真家になった。
そう、家族全員を巻き込んで。
三重県津市で暮らす浅田家は両親と兄弟の4人暮らし。父親(章/平田満)は家で家事全般を担当する主夫で、母親(順子/風吹ジュン)は優秀な看護士として病院で勤務している。真面目な兄(幸宏/妻夫木聡)と自由な弟(政志/二宮和也)は、個性こそ正反対だけれど仲が良い。
12歳の誕生日に写真好きの父親からカメラを譲ってもらった政志は、その日から心で覗くフォーカスに合ったものを求めて写すようになった。
写真好きな政志は大阪の写真専門学校へ進んだが、卒業を危ぶまれるほどの落ちこぼれになっていた。しかし、起死回生を狙った卒業制作の家族写真がまさかの学長賞に輝き、無事卒業も果たすことが出来た。
この卒業制作の家族写真こそ、政志の写真家としての根となるものだった。
写真専門学校を卒業しても政志は、写真家として働くわけでもなく、日々を漂うように暮らしていた。恋人の若菜(黒木華)に愛想を付かされても変わらない政志だったが、ある日父親のなりたかった職業を聞き、その願いを叶える写真撮影を思いつく。
父親が、母親が、兄がなりたかったもの。
それはいつの間にか枝葉が伸びていき、様々なシチュエーションへと進化していく。
写真を撮らなかった政志は、これによって心で覗くフォーカスに合うものを再確認した。
なりたかった写真家になった。
父親と母親は好意的に撮影に協力し、無理難題をお願いされる兄も困惑しながらも政志の要望に応える。
そして枚数を重ねていった浅田家の家族写真は、写真家の政志が【なりたかった写真家】になるために大きく影響していくのだった。
僕は、なりたかった写真家になった。
そう、たくさんの人の思い出と力をかりて。
温かさが温かくて悲しくて温かくて切なくて温かい作品
以下の感想には、
ネタバレあります!!!
映画『望み』を観た時は、後半滂沱の涙になってハンカチで目を押さえていた。
『浅田家!』の場合は、ハンカチを持っていたのにマスクがえらいこと💦になった。
予備無し恥ずかし😅。
ハンカチがあってもマスクに涙の跡が出来てしまったのは、温かい温かさが、悲しくて切ない温かさがスポンジに水が吸収されていくみたいに沁みて、ポロポロ、涙が勝手にポロポロポロポロ流れたから。ハンカチで両目を押さえるとかの意識もなかったから。
政志は、心が覗くフォーカスが合わないと動けない。だから、写真専門学校を卒業しても写真家として動けない。無駄のように見える日々を送るだけ。動けない。政志の両親も我が子の性分を分かっているから、その時を待つ。
けれど、
フォーカスが合えば生き生きと写真を撮る。
先は見えないのに手応えさえ感じて。
家族が認めるっていいな、と思う。2年ぶりに大阪から実家に帰ってきた政志の両腕に、見事なタトゥーが彫られていても兄の幸宏は「カラフル」と表現する。
(; ・`д・´)嘘だろおい!何やってんだ!
じゃなくて、
(´・▽・`)カラフル・・・・。
両親も責めたりしない、呆れただろうけど想定内なんだなきっと。
政志はどこか愛される。
撮りためた家族写真を抱え東京へ上京した時も、別れを告げられた幼馴染の恋人の家に許されて転がり込んでる。
その上、支えられている。
政志は掴みどころが無いけれど、優しい。
政志の優しさは、感受性が豊かで相手の気持ちを察する感性からきている。
そしてその優しさは、依頼される家族写真を写す度に成長していく。
物語が進むごとに、観る側にも人としての気持ちが揺り動かされてくる。
子供の成長を祝う気持ち。
脳腫瘍を患った少年を慈しみ、笑顔で包み込む両親の姿と家族の煌めきは、ファインダーを覗きながら涙がこぼれる政志の心の震えと同じ気持ちになる。
たまらなくなる。
切なくて温かい。
写真と向き合っていた政志は、東日本大震災によってまた写真を撮らなくなるけれど、それはフォーカスが合わないからではなくて、向き合うためにカメラを置いている感じがした。
生活の中にある喜びと慈しみ。
写真は、
記録だけの役割としてあるわけではない。
写真は今を生きる力になる。
もう2度と生きた姿で会えない愛おしい人に、写真はまた会わせてくれる。
高校生だった愛おしさに「小さいなぁ」と。
父親に「久しぶりだなぁ!」と。
また生きていかせてくれる。
被害にあった父親の写真だけが見つからないと訴える莉子の、写真がない理由を見付けて、政志はまたカメラを手に取る。
父親はいつも笑顔で、楽しそうにワクワクした顔で、愛おしい者の記録を残す。
この瞬間が残ることが嬉しいから。
父親はいつも笑顔でシャッターを押す。
家族だけじゃない、大切な友人、大切な恋人、大切な愛おしい人からは、その存在から愛おしいと思える温もりを貰える。
たとえ何時か存在が透明になってしまっても、愛おしいと思える温もりはずっと奥底で息づいて消えたりしない。
そして写真はその温もりを、ありありと蘇らせてくれるんだ。
出会えて良かった。
劇場上映に間に合って良かった。
エンドロールは微笑ましくて笑って、悲しくて温かくて切なくて温かくて泣けて、最後にまた微笑ませてくれるものだった。
歌詞のあるエンドロールもいいけれど、『浅田家!』の歌詞のないエンドロールはこの映画に合っていたな、『浅田家!』らしい。
最後に。
父親役の平田満さんは、私と同じ愛知県豊橋市の出身です。豊橋で1番偏差値の高い高校を卒業してます。素敵な役者さんなので、同郷なのが嬉しい♪。