ペット。
ペット、って単語になってしまうと、
家庭内の添え物的な感じを受ける。
でも、大事な、大事な、息づいている家族。
何かで読んだけれど、全てのペットという名の家族は亡くなった後天国に行くらしい。
納得。
無垢で求めていなくて、温かくてそこに佇み癒してくれる。
命の大切さと、失う喪失を教えてくれる。
家の近くの川沿いを運転していた9月のある日、初老の男性がステテコ姿で、愛犬を優しく抱えながら歩いていた。
でも、そのワンちゃんは、力なく足をダラリと垂れさせて、屍なのだとすぐに分かった。
よく晴れて、白い雲と青い空。
きっと毎日毎日、お父さんと散歩していた道なんだなって想像できた。
それなりの地位にあると思われる男性の表情は憂いを帯び、
切なそうで、
そして、
出会えた感謝と愛情に満ちていた。
ステテコ姿なのも、とにかく、
もう一度一緒に歩きたかったのだと分かる。
家族に愛されたワンちゃんは、二度と、男性に抱かれている肢体を動かすことはないけれど、
お父さんの足元で、大好きなお父さんの表情を時折見上げながら、跳ねるように歩いているように感じた。
時間がとまったような、
そんな、悲しいけれど温かい情景があった。